ルールを破る、優しい嘘。
「サイダーハウス・ルール」 ☆☆☆☆
正しいと思うことのためにルールを破る。
それは不条理ではあるけれども、人としての優しさに溢れている。
孤児院で育ち、青年となって初めて社会に触れた。
彼は働き、生きる中で大人を知る。
医者として育ち、リンゴ農園でねずみ駆除をする。
「お前の仕事は何か」
育ての医者は手紙に綴る。
ルールに背いてまで、守りたいものがあるだろうか。
そうしたい時、きっとそれは優しい嘘になる。
雇ってくれた人にとっては娘であり、
育ての親である医者にとっては彼だった。
そして、孤児院という一見重い場所は、
底抜けに明るい大家族のよう。
一緒にいる時間の長さが、家族をつくるのだ。
借りたキャリーバックを返しに行くついでに、
実家でご飯でも食べてこよう。